私は頸髄損傷(けいずいそんしょう)というけがをしてから、毎日の生活にいろいろな工夫が必要になりました。見た目ではわからないかもしれませんが、体の中でもたくさんの問題が起きます。その一つが「結石(けっせき)」です。
今回は、実際に私が大きな結石を手術で砕いたときの話をお話しします。
痛みで気づいた異変 ― 国リハ入所中の出来事
私は普段、カテーテルは使わず、尿瓶で自力排尿をしています。長時間の外出時だけ、コンビーンという集尿器を使っています。
結石が見つかったのは、国立障害者リハビリテーションセンター(国リハ)に入所して約2ヶ月が経ったころでした。
それまで順調にリハビリを続けていたのですが、ある日お腹の奥にズーンとした痛みを感じました。尿もヘドロみたいな色になっていました。頸髄損傷の影響で痛みを感じにくい私でも、「これはおかしい」とはっきり思いました。
すぐに検査してもらうと、ぼうこうの中に「おまんじゅう大」の大きな結石があることが判明しました。

全身麻酔はできない?私の身体の制限
医師からは「手術で石を砕きましょう」と言われましたが、ここで問題がありました。
私は頸髄損傷の影響で肺活量が少なく、全身麻酔が使えませんでした。呼吸へのリスクがあるためです。
そこで選ばれたのは部分麻酔(下半身のみの麻酔)。意識がある状態での手術は不安でしたが、やるしかありませんでした。
手術中に起きた「まさか」の出来事
手術は内視鏡(カメラ)を使い、ぼうこうの中の石を砕いて取り出す方法でした。最初は順調で、痛みもなく落ち着いていました。
ところが、手術の途中で麻酔が切れてきたのです。だんだん下腹部にズクズクとした感覚が戻り、「痛い!痛い!」と声を上げるほどの強い痛みに変わっていきました。
慌てて麻酔を追加してもらいましたが、あの痛みは今でも忘れられません。体の痛みというより、内臓を鷲づかみにグリグリとえぐられるようでした。
それからの生活と気をつけていること
この経験を経て、私は今、次の4つに気をつけています。
- 水分をこまめにとる:1日1.5〜2リットルを目安に、水分を意識的にとるようにしています。
- 排尿の時間を決める:「まだ大丈夫」ではなく、「時間で排尿」の習慣を守っています。
- 排尿用具を清潔に保つ:尿瓶は都度洗い、雑菌がたまらないようにしています。
- 年1回のCT検査:「なんとなく調子が悪い」でも病院で確認してもらうようにしています。
最後に
結石は、放っておくと手術が必要になるほど大きくなってしまうことがあります。頸髄損傷があると痛みに気づきにくいことも多いですが、「いつもと違う」体のサインを見逃さないことがとても大切です。
私のような体験をしないためにも、水分補給・排尿の習慣・清潔・定期検査の4つを、これからも大切にしていきたいと思います。
同じような立場の方に、この話が少しでも役に立てばうれしいです。
コメント