排尿障害と車の運転 ― 障害があっても自分のペースで走るために

リハビリと日常

■ この記事を読んでほしい人

  • 排尿障害があり、車の運転に不安を感じている人
  • 頸髄損傷などで下半身に麻痺がある人
  • トイレ問題で外出やドライブをためらっている人

■ 排尿障害と車の運転

頸髄損傷などで排尿障害を持つ人にとって、「車の運転」は自由を取り戻す手段である一方、「トイレ」が常に頭をよぎる現実もあります。 私自身も、事故による頸髄損傷で手足に麻痺が残り、排尿は自力でしています。外出時は状況に応じてコンビーン(外尿器)を使用しています。

■ 私の排尿スタイルと運転中の工夫

排尿障害といっても、人によって方法やリズムはさまざまです。 私の場合、普段は尿瓶で排尿し、長時間の外出時やドライブではコンビーンを使用します。カテーテルを使わない分、排尿のタイミングに注意が必要で、「どこで」「いつ」排尿するかを常に意識しています。

運転中に尿意を感じても、すぐにトイレに行けるわけではありません。だからこそ、「安心できる装備」と「計画的なドライブ」が欠かせません。

■ ドライブ前に準備していること

  • 出発前に必ず排尿しておく(ルーティン化)
  • コンビーンを装着しておく(長距離や渋滞に備える)
  • 行き先近くのトイレを事前にチェック
  • 予備のコンビーンや吸収パッドを持参

これらを習慣にすることで、出先でも「もし漏れたらどうしよう」という不安がぐっと減ります。心に余裕があると、運転にも集中できます。

■ 横トラで起きるトラブルとその対策

私が実際に困っていることのひとつに、「横トラのときにコンビーンが外れてしまう」ことがあります。 車いすから車のシートへ横移乗する動作を何回か繰り返すと、いつの間にかコンビーンがズレていて、パンツやズボンを汚してしまうことがあるのです。

特に夏場など汗をかく時期は、接着面がはがれやすくなり、服との摩擦で少しずつずれていきます。 一度外れてしまうと、運転席でどうすることもできず、ただ不快なまま帰るしかない時もありました。 この経験が何度か続いて、「また外れたらどうしよう」と不安になることもありました。

今は少しでも外れにくくするために、装着前に皮膚をよく乾かし、チューブをたるませて動いても引っ張られないようにしています。 また、乗り降りのときは動作を少しゆっくりにして、チューブの向きを確認するようにしました。 それでも完璧ではありませんが、少しずつトラブルは減ってきています。

こうした失敗を通して感じたのは、「排尿の工夫も運転の一部」ということです。 移動の自由を守るためには、失敗も含めて自分の方法を見つけていくしかありません。 誰もが同じではないからこそ、自分の身体に合ったやり方を試していくことが大切だと思います。

■ 車選びで意識していること

排尿障害を抱える人にとって、車の装備はとても大事です。 私が意識したのは以下のような点です。

  • 座席位置が車いすの座面と同じぐらいの高さで、乗り降りがしやすい車
  • 運転姿勢を崩さずに長時間座れるシート
  • 衣類や装具の着脱がしやすい空間

特に、シートの形状や素材は排泄のしやすさにも関係します。滑りすぎると体が安定せず、逆に沈み込みすぎても姿勢が保てません。 実際に試乗し、自分の身体に合った感覚を確認することが大切です。

■ 不安を減らして、少しずつ距離を伸ばす

トイレが不安で運転できない」と感じる人も少なくありません。けれども、工夫次第で外出の幅は広がります。 私自身、最初は30分のドライブでも不安でしたが、少しずつ距離を伸ばしていくうちに「自分のペース」をつかめるようになりました。

排尿障害があっても、工夫と準備で「行きたい場所に行ける」自由は手に入れられます。 大切なのは、焦らず、自分の体と相談しながら少しずつ慣れていくことです。

■ まとめ

  • 排尿障害があっても、車の運転は可能
  • 事前準備と計画的な行動が安心につながる
  • 自分に合った装具と車を選ぶことが大切

排尿障害があるからこそ、無理せず自分のペースで。 そして「移動の自由」は、工夫次第で必ず取り戻せます。

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