車いすで生活していると、小さな段差やドア、机の高さが大きな障害になりますよね。そんな悩みを解決するのが家のバリアフリー化です。
家のバリアフリー化は、車いすユーザーが安全で快適に生活するための第一歩です。また、高齢化する社会においても普遍的な価値があります。
バリアフリー化のステップ
家のバリアフリー化をステップごとに解説
退院直前の家屋調査から始まり、具体的な改修や工夫のプロセスを段階的にまとめます。これにより、無理なく快適なバリアフリー環境を整えられるようになります。
ステップ1: 家屋調査と必要事項の洗い出し
退院直前に行う「家屋調査」は、バリアフリー化の第一歩です。医療チームや作業療法士、理学療法士などのリハビリスタッフと連携して、現状の課題と改善ポイントを明確にします。
主な確認項目:
1. 段差の有無
• 玄関、廊下、トイレ、浴室、各部屋の入り口の段差をチェック。
2. 通路幅と動線
• 車いすが通れる最低幅(75~80cm以上)が確保されているか確認。
3. 床材の滑りやすさ
• 滑りやすい床(フローリングや浴室)に対策が必要か検討。
4. 設備の高さ
• シンク、コンロ、収納、ベッドなど、車いす使用者に合った高さかを確認。
5. 安全性
• 転倒しやすい場所、手すりが必要な場所を洗い出す。
結果に基づく対応:
• リストアップされた課題を優先度で分ける(「退院直後に必要」「将来的に必要」)。
• 医療福祉専門家やリフォーム業者に相談して改善プランを作成する。
ステップ2: 緊急対応が必要な箇所の簡易改修
退院後すぐに生活を始めるため、時間やコストをかけずに対応できる部分から手をつけます。
具体的な対策:
1. 玄関の段差解消
• ミニスロープを設置。費用も抑えられ、簡単に設置可能。
2. 滑り防止マットの設置
• 浴室や廊下などの滑りやすい床に滑り止めマットを敷く。
3. 手すりの設置
• 自立支援のために吸盤式の簡易手すりを導入(トイレ、浴室、階段など)。
4. 家具の配置変更
• 車いすで通れる動線を確保するために、大きな家具を移動したり、不要なものを片付ける。
ステップ3: 中期的な家屋改修
退院後の生活が安定してきた段階で、より快適で安全な環境を整えるための改修を行います。
改修例:
1. ドアの改修
• 引き戸に変更することで、車いすのままスムーズに出入りが可能に。
• 費用が高い場合は、簡易な「ドア幅拡張用金具」で対応。
2. トイレと浴室のリフォーム
• トイレ:手すり設置、便座の高さ調整、スペース拡張。
• 浴室:シャワーチェアの導入、浴槽台、浴槽マット。
3. キッチンの改善
• 昇降式のキッチン台や、下部に足を入れられるデザインのカウンターを導入。
4. 照明の変更
• 壁スイッチを車いすの高さに合わせる。
• 声やスマートフォンで操作できるスマートライトを導入。
助成金や補助金を活用
• 自治体のバリアフリー改修補助制度を活用して、費用負担を軽減。
• 事前に「介護保険住宅改修」の対象条件を確認し、申請手続きを行う。
ステップ4: 長期的な家全体のバリアフリー化
長く安心して暮らすための大規模な改修を検討します。
全体改修のポイント:
1. すべての床の段差をゼロに
• 段差解消工事を行い、車いすで家中を移動しやすくする。
2. 階段へのリフト設置
• 2階に寝室やバスルームがある場合、階段昇降機を導入。
3. 収納スペースのバリアフリー化
• 車いすでも使いやすい引き出し型収納や、低位置の棚を設置。
4. 広い動線の確保
• 壁を撤去して車いすが自由に動ける空間を作る(例:リビングとキッチンの一体化)。
ステップ5: 快適な暮らしをサポートするツールの導入
バリアフリー化を補完するための便利アイテムを導入します。
便利アイテム:
• スマートホームデバイス: 照明、カーテン、エアコンのリモート操作が可能。
• 自動開閉式のドア: 車いすで手が使えない場合も簡単に出入り可能。
• 電動車いす充電ステーション: 車いすのバッテリー管理を効率化。
• 携帯用の手すり: 外出時にも安心して使用できる。
ステップ6: 定期的な見直しとメンテナンス
バリアフリー化は、一度行ったら終わりではなく、定期的に見直しが必要です。
• 家族構成や身体状況の変化に合わせて改修の再検討を行う。
• 設置した手すりや機器のメンテナンスを忘れずに行う(特に電動リフトなど)。
補助金や専門家のサポートを活用する
1. 補助金制度:
自治体の住宅改修補助金や介護保険制度の対象となる項目を確認。
2. 専門家の意見を取り入れる:
医療スタッフ、福祉用具専門相談員、リフォーム業者に相談して最適なプランを立てる。
3. 無料相談窓口を活用:
地域の「障害者福祉センター」や「住宅改修相談窓口」に問い合わせる。
まとめ
家のバリアフリー化は、退院直前の家屋調査から始まり、短期・中期・長期のステップで段階的に進めていくことが理想的です。まずは必要最低限の対応から始め、余裕ができたら快適性や便利さを追求する改修を進めていきましょう。
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