頸髄損傷C6の車いすユーザーが入院中に思っていたこと

手術・入院生活

(急性期・回復期・リハビリ病院・国リハの各段階)

頸髄損傷C6の診断を受け、入院生活が始まると、身体の状態の変化や環境への適応に伴って、考えることも移り変わっていきます。それぞれの段階で、どんなことを思っていたのかを整理して書いてみます。

まとめ

頸髄損傷C6のわたしの入院生活での思考の変化をまとめると、以下のようになります。

  1. 急性期: 「何が起こったのかわからない。不安と恐怖。」
  2. 回復期: 「リハビリでどこまで回復できるのか? 希望と不安。」
  3. リハビリ病院: 「できることを増やしたい。でも限界も見えてくる。」
  4. 国立障害者リハビリテーションセンター: 「この体でどう生きるか? 未来の形を模索する。」

どの段階でも、不安や希望、葛藤が入り混じるものですが、少しずつ「新しい自分」と向き合い、できることを増やしていく過程が続いていきます。それでは詳しくみていきます。

急性期(事故・発症直後~3ヶ月)

「何が起こったのか、これからどうなるのか」

身体の状態:

• 事故直後は意識がありませんでした。意識が戻ったのは2回目の術後だった気がします。

身体は全く動かせず、声すら出せませんでした。

呼吸を確保するため、気管切開をしていたそうです。これが空気をうまく取り込めず溺れたように感じ、辛かったです。

• 起立生低血圧でベットから少しでも頭を起こされると気絶しそうになる。

思っていたこと:

• 「これって一時的なもの? 声は?身体は?それともずっとこうなの?」

• 「明日の(仕事の)予定、キャンセルしなくちゃ」⬅️今考えると、何のんびりしているんだ!

• 「仕事は? 家族は? これからの生活はどうなる?」

• 「手が動かない… でも少しでも動けば回復するのか?」

• 「痛みとかしびれがずっと続くのか?」

• 「このベッドの上から動けないのがつらい…。」

この時期の特徴:

• まずは命をつなぐことが最優先。ただし、この時期が一番辛かった。

• まだ状況を受け入れられず、じわじわと不安と混乱が大きい。

• 情報が少なくて全く未来が想像できない。

回復期(3ヶ月~8ヶ月)

「受け入れるしかない… でもまだ希望はある?」

身体の状態:

• 生命の危機は脱したが、体は痛いし、まだ自由に動かない。

寝返りもできず看護師さんや介護士さんに2時間おきに体交(たいこう、体位変換)をしてもらう。

• 食事は最初の頃はベット上でヘルパーさんに介助で食べさせてもらい、最後の方はデイルームで1人で食べていました。

• 病室での生活が続き、寝たきりから少しずつ起き上がり、電動車いすの訓練が始まる。

思っていたこと:

• 「これはもう元には戻らないのか?」

• 「他の頸髄損傷の人はどんなふうに回復してる?」⬅️4人部屋の病室には同じ症状の人がいなかった

• 「リハビリでどこまで良くなるんだろう?」

• 「トイレやお風呂はどうなる? 自分でできるようになる?」

• 「家族に迷惑かけてる… でも自分では何もできない。」

• 「リハビリを頑張れば、もっと動くようになるのか?」

この時期の特徴:

• 出来ることが増えてきたが、事故の現実を少しずつ理解し始める。

• 回復の可能性に期待しつつ、不安も大きい。思考がぐちゃぐちゃに。

• まだ情報が少なく、今後のイメージが持ちにくい。

リハビリ病院(8ヶ月~1年8ヶ月)

「できることを増やしたい。でも限界も感じる…」

身体の状態:

• リハビリが本格的に始まり、車いすに座る時間が増える(とはいえ1〜3時間)。

• 長下肢装具を着けトレッドミルで歩行練習⬅️これがかなりキツかったです。

• 車いすからベットへの移乗を介助ありで練習。

• 生活動作の練習が中心になり、「自分でできること」を模索する時期。

思っていたこと:

• 「このままリハビリを続けていけば、自分はどこまで回復できるのかな。」

• 「車いすで自分で動けるって、外ってどんな感じなんだろう?」

• 「周りの人と比べて、自分の回復は遅いのか?」⬅️この頃は6人部屋で同じ頸損の人が2人ほいました。

• 「家に戻る準備をしないといけないけど、本当に大丈夫なのか?」

• 「何かしら仕事ができるようになりたい…。」

• 「この状態で友達に会うのが怖い…。」

この時期の特徴:

• できることが少しずつ増えるが、同時に限界も見えてくる。

• 退院後の生活について具体的に考え始める。が全くイメージができない。

• 精神的に落ち込む時期もあり、「これからの人生」をどう作るか悩む。

同部屋の人から再生医療の話を聞き、窓口が国リハにあることを知る。国リハは特にリハビリがハードだとも。

国立障害者リハビリセンター(国リハ)

「この体でどう生きるか、自分なりの答えを見つける」

身体の状態:

• 車いす生活に慣れ、自分でできることが増えてくる。

• 生活スキル(食事、トイレ、歯磨き、整容、パソコン操作など)の習得が進む。

• 他の障害者との交流が増え、刺激をもらい新しい生き方のヒントを得る。

思っていたこと:

• 「この状態でも自分らしく生きる方法があるんじゃないか?」

• 「他の頸損の人たちがどうやって生きているのか知りたい。」

• 「社会に出たとき、どういうサポートがあるのか知りたい。」

• 「まだ落ち込む日もあるが、国リハの生活全てがリハビリで忙しくて大概はそれどころじゃない…。」

この時期の特徴:

• 頸髄損傷に詳しいPTさんやOTさん、相談員さんばかりなので大変助かりました。

• 退所後の生活を本格的に考え始める。

• 同じ立場の仲間と出会い、情報交換をしながら「未来の形」を探る。

• できること・できないことを受け入れ、次のステップに進む準備をする。

初めてここに来た日は、いきなり車いす上で12〜15時間と言われ、正直言って、やっていけるのだろうか?と不安で一杯でした。ただ若い子たちが頑張っているのに負けていられるかと見栄っ張りが発動し、なんとか乗り切れました。あと、ほんと行って良かったです。感謝しかないです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました